会社の対処すべき課題

当社グループは2018年9月に「世界に通用するソフトウェア企業となる」ことを目標とする2023年6月期までの5ヶ年の新中期経営計画「BE GLOBAL 2023」を公表し、その実現に向けて事業活動に取り組んでおります。中でも、ソフトウェアの保守料等、継続的に発生する売上である「ストック売上」の売上高全体に占める割合(ストック売上比率)を現在の30%強から70%にまで引き上げるという目標は、当社グループにとって非常に大きなチャレンジであり、全社員が一丸となって前向きに取り組んでおります。また、収益性の向上と規模の拡大の両面を、バランスをとりながら推進すべく「売上成長率+営業利益率」を新たに指標として取り入れ、この値を全世界的に見ても上位水準である40%以上とすることを目標としております。

これらの中期経営計画の実現にあたって、当社が対処すべき課題は以下の通りです。

 

1.お客様数のさらなる拡大

当社グループの製品は、販売実績が1,100社を突破するなど、我が国を代表する多数の企業に採用されており、日本の連結決算・グループ経営を支えるインフラの一つとなりつつありますが、当社グループの社会への貢献度と企業価値を向上させるためには、まだ十分な水準に達していません。当面、2,000社以上のお客様に採用されることを目指して、持続的に高品質・高付加価値な製品・サービスを提供できるよう取り組んでおります。

 

2.既存のお客様およびそのグループ会社への貢献価値の拡大

当社グループの最大の財産のひとつは日本を代表する優れた企業群であるお客様です。またグループ経営に関連する製品・サービスを提供していることから、その先には何十倍もの数のグループ会社がユーザとして当社グループの製品を利用されています。これらのお客様およびそのグループ会社に対するさらなる付加価値として、当社グループ各社の多様なサービス、およびこれらのサービスを通じて蓄積されたナレッジをもとに開発したクラウドベースの商品の提供を通じて、10,000社以上のグループ会社に貢献することを目指してまいります。

また、当社としては当社グループの各社がシナジーを最大限発現できるような環境の整備に取り組んでまいります。

 

3.工数ベースの売上から付加価値ベースの売上への転換

当社グループでは現在の規模まで企業グループの規模を拡大する過程の中で、工数×単価でお客様へ請求を行う工数ベースの売上の割合を高めてまいりました。今後、売上規模を拡大しながら収益性・生産性を高めることにより、さらなる企業価値を向上していくためには、工数ベースの売上中心のビジネスから、売上の増加のために必ずしも人員の増加を必要としない付加価値ベースの売上中心のビジネスへとシフトしていく必要があると認識しております。

ストック売上比率70%は、このビジネスモデルの転換なくしては実現が困難な割合であり、この目標を重要な指標として掲げることにより、グループ一丸となってビジネスモデルの転換に向けて取り組んでおります。

 

4.従業員の働きがいの向上

当社グループのもうひとつの大きな財産は高度な技術・専門性とチャレンジ精神を持った優れた従業員です。当社グループでは「良質な雇用を増やす」ことを経営の重要な役割として捉えており、毎期従業員数を逓増させつつも、従業員の生活・人生を豊かにし、業務においては成果の創出に集中できるような働きがいのある環境づくりに取り組んでおります。またその一環として、性別や国籍にとらわれない多様な人材の採用・幹部社員への登用についても取り組み始めております。

 

5.外部成長の取り込み

中期経営計画の実現にあたっては、既存事業の持続的発展がそのベースとなるものの、それだけでは実現が困難なこともあり得ます。企業買収・資本提携などについても、これらが必要かつ有効と判断される局面においては、現代の企業活動にとって重要な要素のひとつとして捉え、慎重に準備しつつも前向きに実施してまいります。

外部成長の取り込みにあたっては、当社グループの目指す方向性に合致する企業であることに加え、資本コストを意識すると共に、取り込みの結果をもってしてもROE(自己資本利益率)20%以上を維持することができる見込みであることを基準とすることにより、安易な外部成長の取り込みにより、かえって企業価値を損なう可能性を低減いたします。

 

6.コンプライアンス

当社グループでは創業以来、コンプライアンスを企業統治の基本原理として重視してまいりました。一方で、昨今のコンプライアンスに対する社会的要請は一層高まっており、違反があった場合の社会的信頼の失墜は従来よりもさらに大きく、また、信頼回復に要する期間も長くなっていると捉えております。労働法規を中心とした各種関連法規はもちろん、企業倫理にも反することがないよう、従来以上に徹底しながら事業活動を推進しております。

 

7.サステナビリティ

グループ経営理念「100年企業の創造」とは、企業を社会の公器と見做し、社会のために存在する組織として持続的に発展することです。当社グループはお客様が経営情報を未来の創造に役立てることにおいて価値を提供することを使命とし、社会に貢献することをミッションとしていますが、その実現の過程では様々なステークホルダーと関わることになるため、グループの一人一人が経済活動・環境保全・社会的公正のバランスを保つことに十分配慮して行動しなければ、持続的発展にはつながりません。このため、当社グループは2020年7月22日、グループ人権方針・グループ環境方針を定め、同年8月25日に国連グローバル・コンパクトに署名し、「人権」、「労働」、「環境」、「腐敗防止」の4分野における本質的な価値観を容認し、支持し、実行に移すことを宣言しました。2021年7月1日には、当社グループが年間で使用するすべての電力を「グリーン電力化」し、温室効果ガス排出量をゼロとするなど、持続可能な社会の実現に向けて第一歩を踏み出すこととしました。その他にこれまでに当社グループは自治体や業界団体が主催するスポーツイベントや文化活動の支援活動をわずかながらですが行ってまいりました。他方、グループメンバーが1,000名を超えた現在、グループ全体で理念体系を共有し上記1~6の課題を解決するためにはお客様のニーズの変化を汲み取り、ソリューションを提案する高度な人財が必要です。そのような人財の確保・育成に向け最適な研修・報酬制度の確立を目指しています。