株式会社アバントグループ
代表取締役社長
グループCEO
森川 徹治

 

 

謹んで新年のお慶びを申し上げます。

 

本年の始まりにあたり、一年のテーマとして選んだのは「縁尋機妙(えんじんきみょう)」です。人との出会いが広がることで、思いがけない良い結果を生む、転じて新たな価値を創造していくためには、人との出会いが欠かせないと言うことを表したものです。

 

昨年は「自靖自献(じせいじけん)※」を選びました。AIの台頭により人間の創造性さえ代替が進む可能性を目の当たりにして、生き物である人間として大切にすることを改めて問い直す事が重要だと感じたからです。この自問自答はAIに尋ねるのではなく、自らの五感、つまりは身体的な感性を使って問い続けるというものです。

 

毎日のように自靖自献を問い続けることで、起業の動機や、経営という職業につけていることへのワクワク感が感謝とともに磨かれていくことになりました。そして、そのワクワク感を行動につなげると、いつもより少し、新たな人の出会いが増えました。

 

人との出会いは、不思議です。そこから生まれる何かは、事前の想像をはるかに超えるばかりです。なにやら、生き物のように勝手に成長し、広がることも少なくありません。自靖自献という自分のハピネスが、結局のところ人との縁に尽きるということをしみじみと感じます。

 

新たな人との出会いは、身近な人や古くからの友人や知人に対しても興すことができます。相手への興味や関心を持ち、敬意を磨くほどに、同じ人との関係かと思えるほど新たな広がりが生まれてきます。面白いものです。

 

企業価値の源泉が人であるとして、人的資本経営が注目されています。考え方を否定するものではありませんが、個人的には、人をモノやカネと同じように資本として見る考え方は好みません。会社は人のためにあるものです。ゆえに、どこまで行っても人は目的であり手段では無いと考えています。

 

その人を目的とする経営を行う上で、会社というものを、一人ひとりの縁尋機妙の場として捉えていくと面白いのではないかと、この言葉を選びました。

 

昨年、人的資本経営の根本に「自靖自献」を置くと書きましたが、人を目的とする企業価値経営こそが、自靖自献として目指すべき経営であるとあらため、縁尋機妙に取り組んでまいります。

 

※自靖自献…「自ら靖んじ、自ら献ずる」という意味。古代中国の書物『書経』の中に由来する。具体的には、心の平安を保ちつつ、世のため人のために自分を尽くすことを指す。

 

本年もみなさまにとりまして実り多き一年となりますことをお祈り申し上げます。