2020年1月6日

株式会社アバント

代表取締役社長 森川 徹治

 

 明けましておめでとうございます。

 新たな10年が始まりました。節目という事もあり、未来を想像しながら社会にとっての会社の在り方を考えていました。年頭のあいさつとして、アバントグループという会社の目指す在り方について少し触れさせていただきます。

 

 

・米国が世界のリーダーとなって1世紀

 今から100年前の1920年代は二つの世界大戦のはざまにあり、社会主義国家の誕生や現在の生活にも通じる様々な商材の普及、そして米国が名実ともに世界のリーダーとして認められた時期です。

それから1世紀、企業経営という視点で前の10年を振り返ると、ビッグデータやAI技術の進歩を背景としたデータ価値バブル、金融緩和による世界的な資産価値の高騰、そして国家財政状況の著しい悪化を背景とした米国型コーポレートガバナンス強化や雇用習慣の修正など、米国発の技術や仕組みの取り込みが加速した時期でした。

一方、イデオロギー的に米国と異なる経済圏の拡大も無視できなくなりました。気候変動による災害の増加、SNS等による世界中の課題の表面化によってサステナビリティに対する重要性の認識も高まりました。

 

・さらに多様化し、複雑化する2020年代

 これからの10年を展望すると、異なる価値観の受容や人権の尊重としてのダイバーシティ、環境問題を含むサステナビリティがますます重要なテーマとなるでしょう。これらの問題は今後の企業活動に新たな義務を増やすことになります。

これらの義務の増加は制度的対応とは異なり、より本質的な対応を前提としたものです。各企業が同じことをすれば良いのではなく、それぞれが独自の考え方や手段をもって創造的に行動する事が重要になります。

また、解決の糸口が見えない社会保障や国家財政問題を背景とする経済環境の不安定要因、国家間の経済摩擦もよりそのリスクを積み上げています。イデオロギーは多様化しますが、技術の発展により専門化と分業化はさらに進み、かつてとは異なり、もっと複雑に絡み合った社会になるでしょう。

 

・共同体組織としての会社

このような環境の中で、私は会社という存在は利益を生み出すための単なる機能性組織(ゲゼルシャフト)ではなく、そこに集まる人の生活を豊かにするための共同体組織(ゲマインシャフト)という役割も強めて行くべきと考えています。

機能性組織への偏重による雇用の流動性向上は、個人の自立を強く求めているものですが、個人の自立には相応の(再)教育コストや、新たな仕事の創造が欠かせません。短期的思考になりやすい機能性組織ではこれらの投資を十分に行うことは出来ません。

ところが、現在の日本の財政状況や教育予算の状況をみると個人の自立を支援する余力が社会的に十分であるとは言えません。それだけに、会社という経済組織が人の教育、仕事の創造の担い手として重要なのです。

  

私たちアバントグループは「100年企業の創造」を企業理念としています。

 社会に役立つ事業を継続的に生み出す環境としてのグループ経営モデルと、知的事業資産としてのソフトウェア開発を価値創造のコアとして、変化する社会の中で社会貢献を通してステークホルダーの皆さまならびにグループメンバーとご家族が豊かな人生の基盤となる、社会性のある企業である公器としての成長を目指したいと思います。

 

 それでは、新年、心身の健康第一にてよろしくお願いします。